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「知らなかった」では済まされない!薬機法違反事例から学ぶ対処法②

今回の記事では、薬機法違反の罰則に対し、実際にどんな表現が薬機法違反となるのか?過去事例からリスクを軽減するための対処法を解説いたします。

薬機法の一部改正により2021年8月から課徴金制度が加わり、より厳しい罰則が科せられることになるため、何が違反になるのかをしっかり理解しておきましょう。

薬機法の規制対象

薬機法では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療製品等の5つが規制対象となります。
薬機法に違反をする行為を理解するうえで、それぞれがなんのことを指しているのか正しく知っておく必要がありますので、まずは薬機法における定義や具体例を説明します。

医薬品とは

薬機法における医薬品とは、以下のように記されています。

(薬機法第2条1項)
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

日本薬局方とは、厚生労働大臣が定める医薬品の規格基準書のことで、人や動物の身体機能へ営業を及ぼす効果を目的としたものが医薬品に該当するとされています。

分かりやすくいうと、「病気の治療を目的とした薬」のことで、厚生労働省より配合されている有効成分の効果が認められたものを指します。
病院で処方される薬や市販薬(第1類~第3類医薬品)がこれに当たります。

医薬部外品とは

薬機法における医薬部外品とは、以下のように記されています。

(薬機法第2条2項)
2 この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

つまり、厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合され「防止や衛生を目的に作られたもの」ということになります。

肌荒れやにきびを防ぐ、日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ、口内の殺菌など、効果のある有効成分が配合され、それが承認されていれば、その効果を訴求することができます。

代表的な例として、日焼け止めやうがい薬、栄養ドリンク等が身近なもので、いわゆる「薬用」と表現されているものが、医薬部外品となります。

化粧品とは

薬機法における化粧品とは、以下のように記されています。

(薬機法第2条3項)
3 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

化粧品は、医薬部外品と比較して効果・効能が緩和で「防止や衛生」ではなく「清潔にする、きれいにする、健やかに保つ」などを目的として使用される製品を指します。

薬用として認められている化粧品を除き、医薬部外品のような「肌荒れ・荒れ性、にきびを防ぐ」等の効果・効能は表現することができません

一般的な化粧品やスキンケア用品は化粧品に該当します。

医療機器とは

薬機法における医療機器とは、以下のように記されています。

(薬機法第2条4項)
4 この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

医療機器といわれると、ペースメーカーや人工関節等、病院で使用されているものをイメージすると思いますが、家庭用のマッサージ器や指圧器も医療機器に含まれます

マッサージチェアや電気マッサージャー、フットマッサージャーや足裏等のマッサージ器が該当しますので、気軽に海外から輸入して販売する・・・という訳にはいきませんので、注意が必要です。

再生医療等製品とは

薬機法における再生医療等製品とは、以下のように記されています。

(薬機法第2条9項)
この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
一 次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの
イ 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成
ロ 人又は動物の疾病の治療又は予防
二 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの

基本的には身近な製品に該当する者はありません。
遺伝子治療を目的としたものや、細胞組織を加工したもので厚生労働大臣に承認される必要があり、治療を目的としたものが該当します。

関連する製品の販売業者、発信するインフルエンサーやYouTuberの皆さんに特に注意してほしいのは、医薬部外品や化粧品の取り扱いです。

医薬部外品、化粧品は、表現できる効果効能が定められています。
それ以外での表現は違反とされているため、表現する際はしっかりと調べるようにしましょう

薬機法の広告規制

規制される広告ーブログやアフィリエイトは対象になる?

薬機法に関する第1回の記事でも紹介しましたが、薬機法では虚偽・誇大な記事の広告・記述を禁止しています。

詳細は前回の記事をご覧ください。

広告に関する規制ということで、テレビCMや新聞・ラジオ、折込チラシ等は広く広告と認知されていますが、ブログ記事がこれに該当するのか?

結論から申し上げると、ブログ記事は広告に該当します

ただ、その記事を発信することが特定の商品のPRとなり、対価を得ることが目的となっていることが条件になるため、「対価を得ることが目的でないブログ」で、個人の意見を発信することは広告になりません。

  • 具体的には、以下のすべてに該当する場合が広告とみなされますので注意が必要です。
  • 顧客を誘引する(購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
  • 特定医薬品等の商品名が明らかでされていること
  • 一般人が認知できる状態であること

薬機法違反の事例

ステラ漢方株式会社

2020年7月に起きた「ステラ漢方事件」は、web広告業界に衝撃を与えました。
この事件では、医薬品として承認されていない同社の販売するサプリメント「肝パワーEプラス」について、記事広告で「ズタボロになった肝臓が半年で復活…?!」と表現・宣伝したことが薬機法違反とされました。

事件では、広告掲載に関与したとして、販売会社の広告担当の従業員だけでなく、広告代理店3社の役員ら計6名が逮捕されています。

これまで「何人も」と表現されている「何人規制」が適用されたケースは多くなく、代理店、制作サイドに衝撃を与えた事件となりました。

事例から学ぶポイント

  • 医薬品として承認されていない製品の効果・効能を表示してはいけない
  • 販売業者だけでなく、広告代理店・アフィリエイターも対象となる

日本ホールフーズ

2020年3月、コロナウイルス対策と効果効能を表示したことで、日本ホールフーズの役員2名が書類送検されました。

この事件は、同社が販売するサプリメントのECサイト広告で、2月3~28日までの期間「新型コロナウイルス対策」「ウイルスが遺伝子の複製の際に必要な必須アミノ酸の産生を阻害し、ウイルスの増殖を抑制する」と表示していたというものです。

販売していたのは、オリーブ葉抽出物エキスを主成分としたサプリで、警視庁の家宅捜索が入った際に当該商品の販売を停止しています。

同社社長は「オリーブ葉抽出物エキスについては、表示していた効果に関する学術論文が発表されている。当社のサプリ自体が承認を得ていたのではないので、薬機法違反だったことは事実」と容疑を認めています。

事例から学ぶポイント

  • 根拠があったとしても、未承認薬品では効果効能を表示してはいけない
  • 表示が短期間であったとしてもNG

株式会社digwell(株式会社Gunosy子会社)

ニュースサイト「グノシー」を運営する株式会社Gunosyの完全子会社である株式会社digwellが、化粧品等の虚偽広告を制作・配信したことで、再発防止を求める行政指導がなされました。

この事件では、同社の取り扱う化粧品の広告にて、「シミが消えた」等の架空の口コミを掲載したり、未関係の人の写真を使ったというもの。
これにより親会社であるGunosyではプレスリリースで、誇大広告についての指摘を認めたうえ、再発防止に取り組むと発表しています。

事例から学ぶポイント

  • 大手企業だからといって安心できない
  • 広告内の「個人の感想」だとしても、効果効能を表現することは違反

これらの事例から分かることは、広告である限り、どんな手段を使ったとしても効果効能についての表示は違反として処分を受けるということ。
個人の意見なら良いだろうや、限られた期間だけだからという甘い考えは通じず、場合によっては広告に関与した広告代理店やアフィリエイターまでも処罰される可能性があることが分かります。

大手企業だから安心ということもないため、発信する表現には自身で責任を持つ必要があります。

インフルエンサー・YouTuberが取るべき対処法

過去の薬機法違反の事例を基にすると、薬機法がいかに厳しいものかが分かります。
ただ、インフルエンサーやYouTuberの皆さまからすると、せっかく自分に発注してくれた広告であれば、できる限り魅力的に発信したいもの。

そんな時、リスクを最小限に抑える対処法を紹介します。

完全対策!外部チェックサービスの利用

弊社でも取り扱いのある薬機法の広告表現チェックサービスの活用は、手間をかけることなく、違反箇所の指摘や言い換え表現を提案してくれます。

自分の身は自分で守る必要がありますが、薬機法の違反ルールは条文のみでなく、行政が発令する通知等を網羅し、やっと理解できるものとなっています。
このルールを専門家でもない一般人がすべて理解することは、大きな時間を要するうえ、本業で役に立つものでもないと思いますので、実質不可能だといえます。

特に、1から数本程度の広告案件の受注見込みであれば、かかる手間を考えると外部チェックサービスの活用が有効だと考えられます。

自己防衛!広告表現チェックルールの活用

もう一つの対処法が、自身で表現についてのチェックをすること。
「薬機法の表現 チェック」等で検索をすると、広告表現のチェックツールが出てきます。

活用するサイトの信頼度は個人で判断する必要はありますが、記事を作成する上で「怪しいかもしれない…」と自分で感じる表現に対して、一つの判断基準として活用することは有効です

無料でチェックできるものなので、もし表現に悩んだ際には、検索等で調べるだけでなく、チェックルールも並行して活用してみましょう。

まとめ

薬機法は、「何人規制」があるため、積極的に違反に加担する形となれば大きなリスクとなりますが、基本的には販売業者に向けての法律のため、インフルエンサーやYouTuberの皆さまが過度な心配をする必要はありません。

ただし、過去には販売業者以外の方も逮捕された例もあることも事実。
万が一逮捕されることになっては、せっかく積み上げてきたフォロワーとの信頼が崩れ、今後自身が発信することを信じてもらえなくなるリスクもあります。

前回の記事にある罰則とリスク、今回の記事の事例と対処法を参考に、薬機法を正しく理解し、正しい情報発信を行っていきましょう。